消費者と供給者の境目のない社会

企業には、ウェイやイズムといったその企業らしい従業員の心持ちを表した文言がある。
これまで大事にしてきたものを見える化しながら、心持ちのベクトルを合わせている。
企業によっては、クレドとして日々の朝礼の中で常に振り返りを行なっているところもある。
会社全体のウェイの具体性を一歩高めて、自分の部署での活動に落とし込んでいるところもある。

壁に貼ったり、小さなカードにしてお財布に入れたりしながら大事にしてきた。
それらを見たり、思い出す中で、日々の活動がウェイの色に染まっていく。
いつの間にか、組織の一体感や、良い悪いの物差しができていくのだと思う。
そうなると、お客さんからもその企業の大事にしていることが見えやすくなる。

ウェイやイズムよりも、一歩踏み込んで成果を意識しているのがパーパスだと思う。
パーパスは、翻訳が難しいが、目的、存在意義といった日本語になる。
世の中に生み出したいものをみんなで共有して、みんなで具体化や実装を進めていく。
その会社でできることをスタートにするのではなく、生み出したいことを決めてスタートする。

パーパスでは、こういう心持ちで仕事をするというプロセスの部分よりも、ゴールの中身で勝負だ。
故に、ゴールに到達するために不足するものがあったら、社内外問わず、素早く巻き込む。
パーパスの中身とそこに集まっているメンバーの魅力で仲間を増やしていく。
パーパス、少し具体に落とした構想を掲げ、この指とまれ! 陣立て・箱は後からついてくるイメージだ。

今大事にしたいと考えているパーパスは、「消費者と供給者の境目がない社会を生む」だ。
消費者が次の瞬間には供給者、また消費者に戻る。お金を払っていたかと思うと、お金をもらう側になる。
たくさんの種類の小さな仕事があって、みんなそれぞれがその中からできることをやってお金を稼ぐ。
1日に何種類の仕事をしても良い。物物交換の要領でやってもいい。面白い社会になると思う。