小さな挑戦。

付加価値が足りない。これがこの数十年間にわたる一番の問題だったと思う。
失われた20年などと言われてきたが、失ってきたものは付加価値を生む力だ。
いかに安いものを作るか。効率を上げて原価を下げるか。創意工夫はしてきた。
でも、付加価値を生む創意工夫とは明らかに異なる取り組みだったと思う。

多くの企業はNo.1企業のベストプラクティス集めに必死となり手法を真似た。
月日を重ねるごとに効率化の手法が蓄積され、瞬く間に最適化が進んだ。
新たな付加価値を妄想するのではなく、同じ付加価値をどう効率的に生み出すかに頭を使った。
日本は世界的に見ても、安価でおもてなしのある消費者に優しい国になったのだと思う。

それ自体が完全に悪いわけではない。お客さまの満足を追求する気持ちは素晴らしい。
でも、最近はお客さまの満足を実現するために、自らに我慢を強いているケースがあると思う。
マニュアルで決まったことをしっかりとやり切る。だんだんと本当の目的を忘れる。
いつの間にか決まったことをこなす気持ちのやり取りのない関係性が増えていく。

お客さま側も「有難い」という感覚が薄れ、こうされるのが当たり前だという感じになる。
ここまでくると、せっかくのおもてなしも無駄になってしまう。悲しい状態だ。
やはり「慣れ」が原因だと思う。もっと、ワクワクやドキドキが必要なのだと思う。
挑戦がいる。改善の積み重ねによる研ぎ澄まされた効率的なものではなく、驚きがいる。

豊かに生きるという本当の目的に役立つ、マニュアルから外れた小さな挑戦をしてみる。
それは面白いね。そうきたか。と思わず感じてしまうことをどんどん試してみる。
供給側はお客さんの反応を楽しむ。笑顔が見れたら次もやってみたいと思うに違いない。
そうだ。毎日、みんなが小さな挑戦を少なくとも1つやる。日本を変えるきっかけになると思う。