効率化と新規投資

何事かを成し遂げようとすると、当たり前だが、人やお金や設備といったリソースが掛かる。
社内からは、色々な声が聞こえてくる。新規事業はその実現にリスクが必ずあるからだ。
既存事業でもリソースが掛かるのに、新たにそんなたくさんのリソースなど用意できない。
その事業を本当にやって意味があるのか。既存事業とのシナジーはあるのか。様々だ。

企業は、事業もしくは事業群を運営していくわけだが、そこには目的があって然るべきだ。
その企業が社会に存在する意義と言い換えても良い。パーパスとも呼ばれている。
既存事業も、これから始めたい新規事業もこの存在意義に照らして、内容を詰めていく。
これをやることで、これをこう工夫することで、自社の存在意義を大きく示せるかが基準だ。

しっかりと存在意義を共有できていれば、新規も既存も存在意義実現の部品に過ぎない。
新規と既存は上手く役割分担をしながら、存在意義の実現にそれぞれの方法で貢献する。
既存事業の新たな工夫は、存在意義の実現を加速するか、深くするかが重要となる。
新規事業の中身は、これまで手薄だった存在意義の部分を埋められるものが良い。

ではリソースの配分はどう考えるのがよいだろうか。既存にも新規にもリソースがいる。
ここでも、存在意義が物差しになる。しっかりと維持すべき部分、新たに足す部分を切り分ける。
維持すべき部分は、貯めてきた人の知恵を仕組みに落として効率化を進める。リソースを捻出する。
新たに足す部分は、必要な能力や機能を見極めて、それらを持つリソースを社内外から調達する。

これらをバラバラにやってはいけない。効率化では捻出すべきリソースを特定しておくことが重要だ。
つまり、新たに足す部分に必要なリソースを特定してから、効率化の対象を選んでいく。
もちろん、そのリソースなしでも既存の維持すべき部分ができるように知恵を絞っていく。
各事業の個別最適から、存在意義を物差しにした役割分担へと発想を転換する。未来が開けると思う。