すべての在庫を考える

200年前、大気中に含まれる二酸化炭素は0.028%だった。現在は1.4倍の0.040%だ。
1870年頃の産業革命から急激に増加したようだ。主に化石燃料の使用が原因とされる。
化石燃料とは、石油・石炭・天然ガスなどで、数億年前の生物の死骸が堆積してできたものだ。
生物は吸収した二酸化炭素や有機物を体内に有機物として蓄える。これらが化石燃料になったのだ。

長い年月を掛けて地中に固定化された二酸化炭素は、化石燃料を燃やす中で大気に放出された。
二酸化炭素の放出量が増え、植物や海が吸収する二酸化炭素の量を遥かに超えた結果が今日だろう。
そして、今もなお、化石燃料に頼り、二酸化炭素の放出量が吸収量を上回る日々が続いている。
しかし、化石燃料は有限だ。残量には諸説あるが、エネルギー源として永久に頼ることはできない。

突然だが、ものづくりの世界では、ジャストインタイムという考え方がある。
必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給することで在庫を徹底的に減らす生産活動だ。
エネルギーでも、必要なエネルギーを、必要な時に、必要な量だけ供給するのが理想だ。
車の燃料では、原油をいつ精製してガソリンにするか、どう在庫を少なくするかを考えていた。

でも、原油まで工程を遡ると、原油は既に長期間在庫のままだ。作るには途方もない時間が掛かる。
二酸化炭素に視点を変えてみると、植物や海が必要な二酸化炭素を超える量を人が作ってしまっている。
車、そして植物や海、どちらの視点で見ても、到底、ジャストインタイムどころではない。
自らの都合の良い部分だけを切り取って、ジャストインタイムを目指しているような気さえする。

色々なものの需給の帳尻を合わせる。できれば、人だけでなく、生物全体、地球を見通してだ。
そのためには、需給のバランスとサイクルを短くすること、その連鎖を作ることが大事な気がする。
ゴミ問題もそうだ。使い終わったレジ袋の需要がないから問題だ。ないなら原料に早く戻したい。
人がより視野を広げて、色々なものの在庫をなくす。新たな挑戦が始まっているのだと思う。