遠隔の力

ものづくりの世界では工場をインターネットにつなぐスマート化が進んでいる。
工場には様々な装置があるが、センサーをつけることでそれらの状態が離れた所で掴める。
装置の異常も予兆を感知することで未然に防ぐことも可能だ。予兆を掴むセンサーがあればできる。
多数の装置の操作盤を一箇所に集めれば、最小限の人数でそれらの運用が可能だ。

ただ、工場の場合はひとたび不具合が発生した時、装置を止めることはできても復旧は難しい。
まだロボットに人の器用さはないので、必ず人が現場で作業しなくてはならない。
ロボットを操作するAIが進化するにつれて、少しずつ少しずつ人の出番が減っていくだろう。
職人の精密作業も一緒だ。自動や遠隔でできるものが少しずつ増える。でもまだまだできない部分がある。

車の運転も同じだ。自動運転でできることも増えてきた。10年後にはかなり進化すると思う。
車椅子が既に空港内を無人で動いている。急な飛び出しにもしっかりと対処する。
条件は、立体地図をもっていること、低速であること。法律的には私有地であること。
遠隔でもほぼ同じだが、人がカメラを見て操るので地図はなくても良い。画像遅延への対応力がいる。

自動運転の担い手はAIだ。すごいことに、AIドライバーは何人にでも分身できる。
つまり走らせたい道路環境を理解したAIを一度作ると、何台にでもそれを積んで走らせられる。
一方、遠隔は画像遅延に慣れたドライバーを育成すれば、ある一定の道路環境であればどこでも走れる。
ただし、一度の運転できるのはほぼ1台だ。でも北海道で運転した後すぐに、九州で運転できる。

AIのチャットボットを積めば会話も楽しめるが、すれ違いも多い。盛り上がりはない。
遠隔なら相手は人だ。リアルのタクシードライバーと遜色のない会話が楽しめる。
予め勉強しておけば街のガイドもできるし、旅の思い出作りもできる。
できればいいとこ取りしたい。急な飛び出しはAIに、おもてなしは遠隔ドライバーに。これも組み合わせだ。