カラオケ、生オケ。

歌うことが好きになったのは中学校の頃だったと思う。当時は合唱部にいた。
ソプラノ、アルト、テノール、バス。4つのパートに分かれてハーモニーを奏でる。
腹の底から声を出す。腹式呼吸をする。そんなことを意識したのもこの頃だった。
大会を目指して放課後に練習をして、朝練もする。なかなか楽しい毎日だった。

高校に入ると、日本のポップス、それからフォークソングに触れることが多くなった。
さらに、ハードロックやヘビメタ。こんな領域にも興味を持ち、聞き齧った。
結局のところ、歌うという観点では昭和の歌謡曲やフォークソングにハマった。
さだまさし、松山千春、アリス、甲斐バンドなど、今でも歌詞を覚えている曲が多い。

大学に入って、車の免許を取ったあとは、環境が大きく変わった。カーオディオだ。
なんといっても車は一人の個室空間だ。信号待ちでは隣の車と目が合うが、それ以外は一人だ。
大音量でお気に入りの曲を流しながら、本人の声の大きさを凌ぐくらいの声で歌った。
高速で単調な運転が続く時には、とても楽しい娯楽だった。大きな声を出す楽しさがあった。

大学時代にはバンドもやった。ギターにも挑戦したが、残念ながら全く上達しなかった。
明らかに練習時間が少なかったのは分かっていた。結局ボーカルだけをやることになった。
ヘビメタ、ハードロック、BOOWYあたりのカバーをやった。やはり生演奏は凄かった。
ここでも練習量の差が出ていた気がする。メンバーには少し申し訳ない気がしていた。

社会人に入ってからは、飲み会の後に、スナックで歌うことが多かったと思う。
その場の雰囲気に合わせた選曲で楽しんでいたと思う。でもある時、生オケに出会った。
そのあとは、生オケにハマった。どんな曲でも瞬時に楽譜が出てきて演奏が始まる。
字幕の色が変わることもないが、歌の始まりは合図が送られてくる。最高な日々だったと思う。