守りと攻め。

スポーツの世界。勝利するためには、守りと攻めの連携が不可欠だ。
守っていたかと思えば、一気に攻めに転じて得点をするシーンもよく見る。
攻めていた方は、攻めに集中していたが故に、守りがおろそかになったのだ。
常に、コート全体を把握して、一瞬の隙を作り合う。スポーツの醍醐味だろう。

ビジネスの世界でも守りと攻めはあるが、少しニュアンスが違うような気がする。
守りは収益を積み上げている既存事業で、盤石に続けることを期待されている。
攻めは新規事業だ。多くの場合、規模は小さく、現時点での収益貢献は少ない。
そして、守りと攻めが入れ替わることもなく、それぞれが独立して進めている。

もちろん、既存事業が積み上げてきたアセットの上で新規事業をやることもある。
その場合は、既存事業の胸を借りることになるのだが、ここでも入れ替えはない。
よって、既存事業が新規事業のことを深く知るという機会もなく、交流も限定的だ。
互いによく知らない中で、結果だけをみて、第三者的な評価がされることになる。

スポーツの世界では見事な連携をしていた守りと攻めも、ビジネスでは上手くいかない。
高頻度に同じ人が守りも攻めもやるスポーツと、両方の当事者にはならないビジネスという感じだ。
以前、新規事業の一挙手一投足をモニターで全社に公開するという取り組みに触れたことがある。
新規事業から既存事業への必死のコミュニケーションだ。見せる化で流れを変えたいのだ。

相手を知ると誤解が解ける。応援したくなる。こんな状況が生まれたという。
既存事業にも良い影響があったという。これまで常識を疑うようになったようだ。
ある意味マンネリ化していた提供価値に、新鮮な価値を足すことに繋がったらしい。
守りと攻め。役割分担をしすぎるからダメなのかもしれない。両方を楽しみたいと思う。