賑わいがある。

コロナ禍になって海外に行くことがなくなった。解禁になってからもまだ行っていない。
一方で、日本の様々な地方に出向くようになった。その土地土地の魅力を感じるようになった。
まずは自然だ。東京では味わえなかった感覚だ。空気が澄んでいる。清々しく、美味しい。
空が広く青く、緑が目に優しい。要するに落ち着くのだ。身体が元気になる気がする。

食も魅力だ。その土地の農産物を郷土料理として味わえる。身体に染み入る味だ。
田園風景を目にしながら食べると、味わいも格別だ。収穫体験をすると思い入れが増す。
木のお皿やカップを自分でつくれば、更なる幸せが溢れてくる。積み重なっていくのだ。
意外にも、美味しいコーヒー屋さんにも出会うことが多い。余韻を楽しめる貴重な場となる。

街は昔ながらの風情を大事にしている場合が多い。古民家や歴史的な建物を上手く活用している。
日常の中に取り込んでいる。タイムスリップしたような空間がとっておきの時間を生み出してくれる。
カフェはもちろんだが、星付きのレストランや雑貨屋などセンスの良いお店が並ぶ。
まるで、街には暗黙の了解があるようだ。それに基づいて人々が創意工夫している感じだ。

もうひとつ大事なことは、人の営みがあること。住民が生き生きとしている。その姿が魅力だ。
誰かに言われてやらされている感は全くない。生活を楽しみ、文化を育んでいるのだと思う。
そうした人との交わり、対話は心地よい。自らの常識にない生き方を教えてもらえる。
心のゆとり、おもいやりの気持ち。改めて大事なことを思い出させてくれているように思う。

そうした体験が記憶に刻まれ、もう一度訪れたい場所になる。もう一度会いたい人が生まれる。
これはイベントではなく、文化だ。その文化に触れるうちに、自分もその文化の一部になっていく。
これが賑わい、それも持続的な賑わいのメカニズムのような気がする。今も昔も変わらない。
人の営みが積み重なり賑わいが生まれる。日本の至る所に賑わいがある。そんな国にしていきたい。