底辺と高さ

三角形の面積を求める公式を思い出す。底辺×高さ÷2。呪文のように覚えた。
紙の上に描く三角形は、様々な形があった。底辺の長いもの、高さの高いもの。
見ただけでは、面積の順番がわからなかったが、公式を使えばすぐに計算できた。
公式の正しさも理解できた。4つの角が直角な四角形の半分の大きさになる。

紙の上での三角形の安定感はどうだろうか。これも底辺と高さの関係で見えてくる。
底辺が高さに対して長いと、極めて安定する。逆だといつ倒れるか心配になる。
また、底辺が高さに対して圧倒的に長いと、身動きができないようにも思えてくる。
高さが底辺に対して圧倒的に長いと、立つこと自体が困難なように感じる。

ある有名な画家が「自分の底辺を広げると高さが生まれる」と語っている。
とてもポジティブな言葉で共感した。人の生き方を語っているように思える。
特に、考え方や専門領域が多様になってきた社会において、重要な視点だと思う。
底辺を広げるのが先で、そこに経験や努力が加わることで、高さが生まれるのだ。

つまり、底辺を広げるとは俯瞰力を上げること。多様な立場の存在を理解することだ。
ただ理解が広がるだけではつまらない。興味を持った部分を深ぼることもできる。
多様な立場の人と関わり、相互に繋ぎ合わせることも始められると思う。
どこかの立場を自ら突き詰めて、それを基軸に三角形に賑わいをつくることもできると思う。

自然と三角形は大きくなる。底辺だけでなく高さも長くすれば、形はアクティブな三角形だ。
不器用でなかなか上手くいかないこともある。でも、本質的なことだからブレなければいい。
流されず、迷わず、堂々と続ければいい。底辺を広げると高さが生まれる。これは正しい。
「視野が広がれば視座が高くなる」と言い換えてもいい。まだまだ鍛錬したいと思う。