不完全な技術を使う

これは精度が悪いからこのままでは使い物にならない。精度を上げたい。
こんな話を色々な場面で聞く。では、どのくらいの精度があったらいいのだろうか。
もちろん、100%だと嬉しいに違いない。でも、例えば人の判断はどうだろうか。
性別の判断なら、99%くらいの確率では当てることはできるのではないだろうか。

これは街の中を歩いている人を、ランダムにピックアップして試した場合だ。
外見からはなかなか判断しにくい人をピックアップして問題にしたら確率はグンと下がる。
敢えて、女性に見える男性、男性に見える女性を揃えたらほぼ当たらないかもしれない。
肉体的な性別ではなく、精神的な性別を見極めるのであれば、別の難易度が出てくる。

要するに世の中には100%の精度で当てられるものなど、少ないと思う。
ものづくりの世界では常に100%を求められてきた。不良品が混入したら問題だからだ。
これが100%に極めて近づけるのは理由がある。良品と不良品の違いが分かり易いからだ。
良品の特徴で判断する場合と、不良品の特徴で判断する場合とある。組み合わせもある。

いずれの場合にしても、経験をある程度積むことで、100%に限りなく近い精度が実現する。
AIでも人と同様なプロセスを踏んで、精度の向上に挑戦している。かなりの成果が出ている。
ただ、熟練者には敵わない。だからまずは不検出を避け、過検出を狙って、そこから熟練者に託す。
こうすれば、過検出分だけ熟練者がやればいいので、作業は一気に100分の1くらいにできる。

ものづくりの現場ではこんなやり方から入り、AIの精度が上がったら熟練者の配置を無くしていく。
別の世界なら色々やり方がある。人が今まで見れて来なかった領域なら確率7-8割でも十分使える。
全部の中には1割しか含まれない。でもAIで抽出して7-8割が正しいなら、結構役に立つと思う。
AIが人のアシスタントになって、この辺が確率高いですよとアドバイスしてくれるイメージだ。