束ねて強くする

撚り線というものを知っているだろうか。「よりせん」と読む。
例えば、10本程度の細い銅線をねじって互いに巻きつくようにしたケーブルだ。
同じ太さの単線に比べて柔らかく、曲げても断線することもない便利なものだ。
撚り線を構成する1本1本は非常に細く、曲げれば折れてしまうが撚ると強くなる。

実際触ってみると、単線は折り曲げるのに少し力が必要だ。曲げたら戻らない。
撚り線は、簡単に言うと「ふにゃふにゃ」している。しなやかと言ってもいい。
材質が同じなのにも関わらず、こんなにも触り心地が変わるのかと正直驚く。
細ければ弱いと思ってしまうが、撚られることで相互に支え合い強くなるのだ。

こんな現象を頭に入れておくと、世の中にある色々なコトに、同じメカニズムが見つかる。
企業でもそうだ。パーパスが明確に存在し、社員がそれを共有していると、撚り線になる。
1人ひとりの活動が同じベクトルを向き、相互に支え合いながら強さを発揮していく。
個別で進めるより、情報発信力が高まり、タイミングを合わせればコストも下げられる。

まちづくりでも同じだ。まちにある固有の魅力をしっかりと言語化しておく。
そして、その魅力を伝えるための活動をまちの人々を巻き込みながらたくさん作る。
それらを束ねて発信する。タイミングを合わせて相乗効果を生む。周遊を楽しんでもらう。
まちのあちこちで、まちの魅力を存分に感じてもらえるのではないだろうか。

まだまだ「競争」というシェア争いの話が世の中にはたくさんある。共に切磋琢磨ならいい。
どちらかがなくなるまででは悲しい。束ねるは「競争」ではなく「共創」の概念だ。
撚り線をつくる!という感覚を頭の中に常に持っておく。そうすれば見え方が変わると思う。
さあ、どんな取り組みを、自分の取り組みと撚ってみたいか。色々挑戦して欲しい!