組み合わせの力

これまでも既にあるモノやノウハウ、つまり「ありもの」の組み合わせについて話してきた。
昨日は、とある名古屋のバーで面白い挑戦に出会った。素材の組み合わせによるワインの再現だ。
既に白ワインのプロトタイプは完成していて、味の更なる調整を図っている段階だという。
実際に飲んでみると、白ワインの酸味や苦味などが確かに感じられるのにかなり驚いた。

もちろん、ブドウは使っていない。その代わりに塩や野菜、果物などを原料に使っている。
焼いたり、蒸留したり、1つずつの素材に一手間もふた手間も掛けて、それらを組み合わせている。
少し口に含んで、味覚を研ぎ澄ますと、白ワインの特徴を丁寧に組み合わせているのが分かる。
なんとも驚くべき技術だ。白ワインの更なる進化に加えて、赤ワインの再現も計画しているという。

ありものの組み合わせを試行錯誤することで、完成度の高い味の合成ができるのが実感できた。
ふと、これまでにも味の合成を体験してきたことに気づいた。味覚ソムリエが作るカップラーメンだ。
人気のラーメン店の味を再現すべく、様々な味を紡ぐ素材を組み合わせてスープを再現する。
味覚ソムリエは、名店のスープを一口飲むだけで瞬時にかなり近いプロトタイプを調合できるという。

完全に別のやり方で作ったモノなのにも関わらず、コストも抑えて極めて高いレベルで再現している。
そういえば、最近は匂いボックスなるものも存在している。これも匂いの素材の組み合わせだ。
味に比べると完成度は低いかもしれないが、なかなか頑張っているなと感じた覚えがある。
味覚と嗅覚ときた。あ、視覚もある。いわゆる現実と仮想を組み合わせるXRという技術だ。

音もある。サラウンドシステムなどはその典型例だろう。狭い部屋でコンサートホールを再現する。
これも複数のスピーカーからでる音の組み合わせで音の立体感を作り出す。目をつぶれば本物だ。
触覚は少し難しいかもしれない。物理的な特徴を触って感じるものなので、実際にモノが必要だ。
でも、やはり世の中にはアナロジーが効くことが沢山ある。色々なアイディアを量産していきたい。