能力・機能を書き出す

世の中が複雑になってきた。何か新しい価値を生もうと思うと、やるべきことが色々出てくる。
モノを作って販売するという時代、最初は良いモノを作れば売れた。良いモノづくりの競争だった。
他社にはない機能を盛り込むか、デザインをよくするか、創意工夫を重ねてきたと思う。
単一機能だったモノが、次第に多数の機能を持つようになり、どんどん便利になっていった。

この段階では、機能群が定義されて、常に増やされてきた。あくまでもモノにまつわる機能だ。
それぞれの機能をどう実現するかも色々考えられた。過去の知恵を土台に新たな知恵も生まれた。
ただ多くの場合、それらの知恵はそれぞれの会社の中の秘密として扱われてきた。
ファイルやハードディスクなどでの管理で、そもそもどこにどんな知恵があるか分からなかった。

コト売りという時代になって、複雑度は一気に増した。モノの使い方から企画がスタートする。
体験、つまりモノを使うシーンではそのモノだけがあるわけではなく、シーンの一部に過ぎない。
他のモノとのコラボレーションの中で、そのモノがユーザーの魅力的な体験に貢献するのだ。
そうなると、他のモノのことも知らなければならないし、様々なシーンへの理解も必要となる。

この辺りから、自社だけで知恵を扱うことが不可能になってくる。知恵を共有しないと難しくなる。
コトづくりでモノがコラボするなら、コトの作り手も知恵を共有してコラボレーションをするべきだ。
それぞれのモノをよく知っている人、様々なシーンを知っている人、シーンを魅力的に彩れる人。
こんな人が集まると、一気に体験が豊かで魅力的になると思う。コトづくりでは必須だろう。

モノづくりの時代からあったが、作り上げたモノは潜在ユーザーにその存在を届けなければならない。
テレビや雑誌の広告から始まり、SNSなどのデジタルメディア。どんどん手法は増えてきている。
コトづくりではこの部分も複雑になっていく。増え続ける必要な能力や機能も操らなければならない。
「使いやすい能力・機能カタログ」をみんなで共有したい。そうすれば体験の量産ができると思う。