行動創造

最近のマーケティングの話題はどちらかというと、デジタル技術を活用した効率化が多かった。
顧客の購買行動をトラッキングして、顧客の趣味嗜好を分析、其々の顧客にあった推奨をする。
マス広告に比べて、情報を受け取った顧客が購買に至る確率が高く、効率的に販売を伸ばせる。
顧客一人一人の分析をできるようになったのは、間違いなくデジタル技術の発展のお陰だ。

別の場面でもデジタル技術は使われる。ネット販売における「カート落ち」を減らす取り組みだ。
カートにまでは入った商品の精算を確定させるクリックを押してもらうためにデジタルを使う。
あの手この手でカートの中の商品を思い出させ、意思決定を迫る。これも確率が比較的高い。
今では少しやり過ぎがたたって、リコメンドを不要と考える顧客もいるくらいの状況になっている。

こうした使い方は既に浸透してきた。既に使い方の細かい部分のチューニングが行われている。
追加の頑張り、コストに対しての追加の効果はだんだん落ちてきている状況ではないだろうか。
あと、気になるのはどちらかと言えば、こうした取り組みはシェア争いの様相を呈している。
同業や類似商品からいかにして顧客を奪うか。こんなシーンも想像できてしまう。

値引きなどのインセンティブをタイムリーに使う場合などは顕著だ。デジタルなら簡単に変えられる。
一番悲しいシーンは、値引きで顧客を引きつけ勝ち取るケースだ。コストをかけるのに価値が下がる。
世の中に充満している「顧客のために」という感覚で、同じものを安くという風潮とも重なる。
どんどん経済を縮める方向に舵が切られている感じがしてならない。流れを変えなければならない。

行動創造。この言葉には効率化とは逆の意味が込められている。消費を促すのでもない。
消費者に「行動を、創意工夫を促したい」という想いが込められている。新価値の創造だ。
消費者が購入した商品やサービスを土台にして、自らの商品やサービスを生むという行動も含まれる。
今の世の中、人々は消費を楽しむ事に重きを置いている。もう一度、供給者になる事を考えたい。