杉皮剥き2回目

昨年の秋、握力に限界を感じながら、手首に痛みを感じながら杉皮を剥いた。
説明は受けていたが、杉皮を剥くには春から夏が良いらしい。秋の皮剥きは相当にしんどかった。
金属のヘラを使ってみたり、ナイフを使って切るようになぞったり、色々なやり方を試した。
一番良かったのは、ナイフで片側だけ削いで作った「特製木の枝」だった。丁度良い塩梅だった。

春とはいえ、今回も相当の覚悟で望んだ。前回の2倍の杉皮が目標だった。出来るとは思えなかった。
いざ杉林に入って作業を始めると、前回とは全く感触が違った。一言でいうと「ジューシー」。
今回は「特製木の枝」の学びから、ある人が柔らかさと厚みが似ている樹脂ヘラを用意してくれた。
杉皮と生木の間を、すーっとなぞるだけで、みるみるうちに杉皮が剥がれていく。力もいらない。

なぞる側から、水のような樹液が溢れ出てきた。その水がヘラの動きを更に滑らかにする。
ふと、手で試してみた。指を上手く界面に押し当てていくと、ヘラの2倍のスピードで剥けていく。
驚きだった。ただ、軍手はみるみるうちにどろどろになっていき、長袖もどろどろだ。
でも、時間を忘れて、剥き続けた。斜面からズリ落ちそうに何回もなったが、必要量やりきった。

もう一つ驚いたことがあった。昨年の秋、木を倒さずに、立ったままの木の一部分の皮を剥いだ。
皮を剥いだら元気がなくなると思っていた。でもその木を倒して、剥いでみると生き生きしていた。
他の木とも全く変わらない瑞々しさだった。生命の凄さを目の当たりにした瞬間だった。
杉皮取りは豊作だった。でも気づいた。山からそれを持って降りるしんどい作業が待ち構えていた。

篠山の大将のおかげで、少しずつ山の自然と触れ合うことができている。木の倒し方も学んだ。
タイニーハウスづくりの棟梁もすごい。木の上下の見極め方を学び、鋸や鉋を使う機会も持てた。
来月は杉皮を屋根に葺いていく作業だ。大事に葺いていこうと思う。その次は焼き杉の壁づくりだ。
地球や自然に感謝。美味しいランチを作ってくれる里山の方々にも感謝。月に一度の楽しみだ。