車でスキー

30年前、車はモテる道具だった。サークルのスキー合宿などは車を出すだけでチヤホヤされた。
明らかに周りに迷惑な明るさのフォグランプを2セット後付けして、自慢げに話していた。
ルーフキャリアも付けて、当時長さが2mを超えたスキー板を6本まで載せられるようにした。
当時スタッドレスタイヤは高嶺の花だったので、タイヤチェーンで雪道に備えた。

スキーに出かけた際の見せ場は、チェーンの取り付けだ。どれだけ速く付けられるかが重要だった。
今と違って金属チェーンだったが、コツがあった。まず拳より少し小さい石を辺りから探し出す。
そしてチェーンを付ける前輪の50cmくらい前に長手方向に敷いたチェーンの中の隙間に石を置く。
これが済んだら車を前に進めて、タイヤを石に乗り上げて止める。これならチェーンは自由に動く。

外に出てチェーンを引っ張り上げ、タイヤ上部で繋ぎ合わせる。最後はゴムバンドで強く締め付ける。
停車からチェーンの両輪装着完了まで、5-6分だ。さながらカーレースのピット作業のように終える。
作業は危ないのでエンジンを止めて、全員外に出て進める。故に、この圧倒的な速さは重宝された。
樹脂チェーンで取り付け簡単5分を謳うものも後から出てきたが、このやり方が今だ最速な気がする。

スキーにいっても日帰りが多かった。早朝に出かけスキー場の駐車場までいち早く向かった。
仮眠を車の中でするのが当たり前だった。スキー場のアナウンスで目覚めて、ゲレンデに向かった。
当時は人工降雪機などあまり使う必要がなかったと思う。雪は深くパウダースノーを満喫した。
フードのないリフトも多く、風が吹くと寒さが身体にしみたのを覚えている。それも楽しかった。

今年、久しぶりにスキーに行った。2月だったこともあり、スキー場への道のりに雪は無かった。
スタッドレスを履いていた車は、その性能を発揮することなく、とても残念な感じだった。
スキーは、ウェアから板から靴までフルレンタルにした。オーダーはiPadで簡単申し込みだった。
昔とは違ったが、2021年シーズンには10回以上スキーに行くと思えた1日だった。身体を動かそう!