有難いこと

今の日本ではとても便利な生活ができる。至るところにお店があり、夜遅くまで開いている。
食事は和食、イタリアン、フレンチなどなど、世界中のどんな食べ物でも食べに行ける。
百貨店、ショッピングモール、アウトレットなど、欲しいものはどんなものでも直ぐに揃う。
ネット通販やネットオークションなら相当レアな商品まで数日以内に手に入ってしまう。

接客のレベルも諸外国と比べて、平均値が圧倒的に高い。海外に行くと常にそう感じる。
学生だった30年前と比べると、明らかにサービスの質も早さも向上している。異次元だ。
日本人のおもてなしの心や、継続的な改善の賜物だと思う。ウェットな感覚がしっかりある。
もちろん、テクノロジーの進化も見逃せない。インターネット、スマホ。世界が変わった。

一方で、昔は顔の見えるサービスが多かった。お礼を言うべき相手が自分の前にいた。
誰が丁寧な仕事で準備して、提供してくれているのかが分かりやすかった。
今は仕組みやプラットフォームなるものがあり、それを介して色々なサービスを受けている。
機能分担が進み、其々の機能を担う人が沢山集まって、プラットフォームが維持されている。

だから、何か良いサービスが当たり前な気がしてしまう。機械的に提供されると感じてしまう。
想いがあっても、其々の想いは繋がらず、サービスの受益者には届かなくなっている。
大企業の仕事も同じかもしれない。お客様の笑顔が其々の機能を分担している人に届かない。
故に、モチベーションも高まらない。効率だけが追求されていく。何かが違う。

もっと、みんなの力で生み出した製品やサービスを見える化したい。伝えたい。
この製品やサービスには何人がどんな役割で携わったのか。どんな想いで作り上げたのか。
お客様からありがとうを其々の人に届ける仕組みも作りたい。消費者偏重はよくない。
消費者も実はみんな供給者だ。供給者に光を当てる。「有難う」がたくさん流通すると思う。