日本でもドイツでも高齢化により職人の技の伝承という問題に直面している。
長年培ってきた状況把握の仕方や作業の段取り・手順、道具の使い方などが技の中身だ。
それぞれの職人にはこれまでの経験に裏打ちされたそれぞれのこだわりの部分がある。
実際、同じ図面のものを2人の職人に作ってもらうと明らかに異なる。アートと言っても良い。
技の伝承が問題になっている理由は幾つかある。
まずは若者不足だ。きついルーティンワークと感じる若者も多くなかなか集まらない。
伝承したくても相手がいない。これまで培ってきたものが途切れてしまう懸念だ。
目の前で切実なのは、職人がいないと他の作業に着手できないボトルネックとなる事だ。
この見積もりはあの人しかできない。この作業もそうだ。とても無理。
現場でこんな話をよく聞く。どうも捉えるべき変数が複雑に絡み合った作業のようだ。
いわゆる総合的な判断が必要だが、職人はそれを当たり前のようにこなしている。
周囲の人にとって何故が多すぎて理解を諦めたくなる凄技だ。
でも職人がその凄技を身につけてきた経緯は、新たな発見を1つずつだと思う。
その1つずつが頭の中にストックされていて、目の前にある難題をそれらストックの組み合わせで解いている。
そんな気がする。でも若者が同じ道を通る必要は必ずしも無いように思う。
同じように見つけるのではなく、既にあるものを活用する。この方が断然いい。
状況把握、作業の段取り・手順、道具の使い方。成果物によって組み合わせは莫大だ。
でも、デジタルが便利な現在、無理な話ではない。むしろAIも含めて道具立ても整ってきた。
1つ1つをデジタル化して、選択肢として若者に提示する。職人の技を若者が使える。
ワクワクする。すぐにできる。捻出した時間は新たな道具の技を貯める側に回る。未来の職人になれると思う。