帰属意識

日本人の場合、自分は会社に帰属していると考える人が多い。
私自身もそう感じることが多々ある。数十年同じ会社に勤めていれば当たり前かもしれない。
昔は、街や村という単位で帰属意識があった。ご近所付き合いが盛んだった。
いつの間にか煩わしいもの。今、都心のマンションでは隣の人のことを全く知らない。

家族的な会社がある。小規模で対話の絶えない会社だ。みんな面倒見がいい。
街や村の近所付き合いが日々オフィスで行われている感じだ。困っていると声をかける。
往々にしてそういう会社は、仕事をプロジェクト毎にチームを組んで進めるので、縦割りの風土はない。
どんなメンバーと組んでも仕事を成し遂げるために相互に工夫する。帰属意識が強くなる。

伝統を守る組織も帰属意識が高そうだ。神輿を担いで祭りで練り歩く。
大事な風習を未来に伝えるという使命感や祭りをやりきった達成感が組織を強固にする。
ものづくり職人の会社も同じだ。卓越した技能を弟子に伝える中で強い絆が生まれる。
背中を見て覚えろ!という世界観もだいぶ変化してきた。師匠と弟子の二人三脚が始まっている。

やはり、日本人は、私も含めて、本当に仕事が好きなんだと思う。しばしば第一優先になる。
それだけでいいのだろうか。最近は街や村も元気にしたい、街や村にも帰属意識を持ちたいと思う。
先日、鎌倉に行った時、街から力を感じた。街の人から活力を感じた。場に力がある。
街の食堂では、周辺のレストランのシェフが入れ替わりで、近隣の会社の社員食堂を運営していた。

移住者向けの不動産屋さんやベンチャーや学生を応援するコラボスペースもある。
地域通貨で、お金を街の中で循環させる仕掛けもある。活気を感じて移り住む人も増える。
より住みやすい街、働きやすい街をつくるべく知恵を絞っている。仕事も生んでいる。
仕事、街、家。色々なところに帰属してみる。時間をうまく使って。幸せの総量が増える気がする。