OJT

実際の業務で経験豊かな上司や先輩が、若手や後輩に知識やスキルを計画的に教えること。
OJTの定義だ。要は仕事の中でゴールを決めて誰かの能力向上を実現することだ。
もちろん、どんな仕事を進めるのか、何を担当させるのかで成長させられる能力も異なる。
故に、OJTは万能ではない。ただ、生々しい目の前で起きた事例で学べることが強みだ。

顧客起点や事業起点はOJTの場でもよく対象になる課題だ。なぜだろうか。
自分が使う商品やサービスであれば、顧客の気持ちになれる。でも買う可能性がない場合もある。
そうなると、顧客の気持ちは妄想するしかない。でも多くの場合、難しいと諦めてしまう。
そして、いつのまにか、自分の業務を自分の得意な形で進めるようになってしまうのだ。

こうなると、顧客はどこかに置き去りになることが多い。では事業起点はどうだろうか。
当たり前だが、事業はあるゴールに向けて、様々な機能が協力してダイナミックに動くべきだ。
状況状況に応じて、全体を見渡して、自分が成すべきことを見極めながら動くのだ。
サッカーなら、キーパーが居ないゴールは他のポジションの人が守らなければならない。

つまりは本来の機能とは違うことを含めて、その時々の自分ができることをやるのだ。
とはいえ、別の機能をやったからといって、本来の自分の機能も疎かにしてはいけない。
でも、多くの場合は、最初に自分がゴールに貢献する内容を決めて、それをやり始める。
そして、一度決めた自分の役割を効率的にずっと続けようとするのだ。周囲は見えなくなる。

すると、臨機応変さ、ダイナミックさは消え失せ、ひたすら同じことをやる。
周囲の人が何をしていて、何に困っているかに興味がない。ちゃんとやって欲しいと思ったりする。
でも、事業とはゴールがあり、ゴールに到達することが目標だ。それが高次の達成すべき目標だ。
役割分担と全体のゴールの両立。OJTは広い視野、全体の俯瞰力を鍛える場なのかもしれない。