お金の循環。

文化に携わるようになってから、常に頭にあるのは好循環という言葉だ。
まず文化に投資をして、その効果が様々なところに波及していくこと。
そして、ある程度波及効果が大きくできると、もっと文化に投資しようとなる。
もちろん、次の波及効果を狙ったものだ。お金がぐるぐると回っていく。

企業でも同じだ。先行投資をして工場をつくり、製品を世に送り出す。
その製品が売れたら、さらなる投資をして、工場を拡張してより多くを送り出す。
場合によっては、製品改良や新製品の開発も行い、売上を拡大していく。
結果として、買い手から企業にお金の流れが生まれる。他の流れもある。

製品を作るためには色々な部品がいる。その部品の購入でもお金は流れる。
自動車は分かりやすいが何万もの部品を購入して、完成車メーカーが組み立てる。
とてつもない量のお金の動きが生まれているのだ。別のお金の流れもある。
それは企業から従業員へのお金の流れだ。労働の対価が支払われるのだ。

その対価は自動車を買うこともあるが、食料品を買うこともある。産業を跨いで回っていく。
もちろん、農業や漁業をやっている方も車を買う。米や魚で稼いだ金が自動車に回るのだ。
では文化の場合はどうだろうか。少し乱暴だが、文化は人の心を揺さぶるものだ。
どんな産業でも文化を纏うと魅力が増し、それを体験すると追加の対価が生まれると思う。

心の充実が目的になった世界では、文化は何よりも強力な道具立てになると思う。
お金を稼ぐことが目的だと、お金を自分のところに集めることが大事になる。
でも、心の充実が目的なら文化を育むこと、周囲の環境を育むことがより重要となる。
お金の回し方。そろそろ新しい常識を作っても良い気がしている。周囲を大事にしたい。