何か事業を新たに生み出そうとした時、よく出てくる問題がある。類似のサービスへの問いだ。
唯一無二の技術に立脚する製品であれば、その技術がない限り作れない。類似製品は極めて少ない。
一方で、世の中に出回っている製品や技術の組み合わせで使ったサービスは往々にして類似が多い。
細部は異なるが、消費者に届く大きなメッセージが同じなことも多い。これは競合なのだろうか。
10年前であれば、答えは簡単だ。競合であるという認識でかなりの合意が取れたと思う。
その競合に負けないように、1日でも早くサービスを完成させ、顧客への提供を始める競争になる。
その上で、競合にはないユニークな特徴をしっかりと折り込み、可能な限り棲み分けを図っていく。
最終的には、価格なども大きく影響しながら、消費者から選ばれたサービスが生き残ることになる。
でも最近は様子が少し違うように思う。類似サービスとタッグを組むケースが増えてきている。
背景には、一緒に市場を盛り上げる。一緒に地域のカバー率を上げる。より強いサービスをつくる。
こんな感覚があるように思う。以前に比べて、サービスも高度化して、必要な機能が格段に増えた。
故に、同じように見えても各々が揃えられた機能を見てみると、結構違いが見つかる状況だ。
互いに補完したり、其々のいいとこ取りをすれば、サービスの付加価値を高めることできるのだ。
仲間として一緒にやれば、リソースも充実し、スピードは速く、規模も大きくできる。強くなる。
一人勝ちとはいかないが、成功確率を含めた収益総量の期待値を大きくできるという感覚も持てる。
そもそも、社会を仲間と共に盛り上げたいという意識も以前よりかなり増えてきていると思う。
この時、最も大事なのは社会に生み出したい価値の根本的な部分だ。これが同じかどうかが重要だ。
志と言い換えてもいい。これが同じであれば、手法論における多少の意見の相違など認め合える。
それどころか、志を共にする新たな仲間を集めて、より大きな付加価値に挑戦することもできる。
競争による切磋琢磨もいいが、共創による付加価値の向上もいい。バランスを持って進めていこう。