当たり前だが、どんな会社でも従業員と社長は立場が違う。取締役と社長でもそうだ。
うまく表現できないが、会社を背負っている、最後の砦的な感覚もあると思う。
多くの社長は、視野も視座も広い。広いから社長なのではなく、結果として広いのだ。
社長に就任した時からその鍛錬が始まる。日々、環境に広げられていくのだと思う。
1年目はおそらく手探りも多いと思う。そして、一番気になるのは売上と利益だ。
就任して早々に減収減益は避けたいと考えてしまうからだ。でもすぐに気づき始める。
目先の収益だけに囚われて、営業に檄を飛ばすだけでは何もおこらないことが分かるのだ。
それは少し余裕が生まれた時や、色々な事件が社内外で起きた時にみえてくるのだ。
ある意味、担当がないのだ。会社関連で起きたことはすべて担当だと言ってもよい。
対応すべき範囲は無限に広がっていく。それらを素早く未来につながるように打ち返していく。
3年も経つと、頭の中は人財についてのことでいっぱいになってくる。能力を引き出したくなるのだ。
引き出した能力を組み合わせて、会社の競争力に仕立てる。そんなことばかり考えてしまう。
5年も経つと、会社という組織で起こることについては大抵の事について分かるようになる。
分かるといっても、解決できるという意味では無い。日々、色々な事を前に進めるために考えている。
様々な立場の人に意識を向けて、能力総量を高めるために何が必要かを考えている。
他の会社、別の業界の社長との話が楽しくなる。人財に対して取り入れられる気づきを探すのだ。
社長を10年経験した。数社社長を歴任した。そんな方と話すのはとても楽しい。厚みが違う。
目の前に出てくる事象は単なる事象で、その奥に秘めたものがその人ならではの面白いところだ。
これまでの経験に基づいた独自の方法論がある。それを引き出すことができると最高の対話になる。
勿論、リスペクトがいる。でもそれ以上に、奥にある秘訣に触れる好奇心を持つのが良いと思う。