絡み合った糸

文化に向き合うようになってから賑わい創出の難しさを痛感している。
特に、由緒正しい、伝統や格式のある文化においてはそれが顕著だ。
そうした文化は大事に育まれてきたもので、これまでの関係者の想いを乗せている。
想いに想いが重なり、大きな想いになっている。故に、そう易々と他と交わることはできない。

一子相伝とまではいかないが、守り、後世に伝えるというのがどうしても大事になる。
決して想いの重なりを止めてはならないと。外からは分からない色々な葛藤があるのだろう。
なんとかそうした葛藤を含めて、受け止めていきたい。そんな想いがあるが上手くいかない。
というか、想いの深さが深すぎて、おそらく受け止め切れるものではないだろう。

こんな状況に加えて、周囲の支援者も大変だ。まずは何をやるにも収支がつきまとう。
損益が黒になっているものを探すのが難しい状態だ。補助金で成り立っているのだ。
そうなると、当たり前だが、コスト削減のプレッシャーが常にかかっていく。
人件費などはすぐに対象になる。どんどんできる支援が減っていき、負のスパイラルに入る。

文化の担い手に新たな仕事をつくる役割は一番の影響を受ける。かなり深刻だ。
人手がいないからこれまでの仕事を回すのに精一杯だ。回せなかったら減らすしかない。
これまでの仕事をギリギリで回すだけ。そうなると、担い手の収入は落ちていく。
さらに、新たな仕事は新たなニーズを捉えるためのものだから、無ければ徐々に先細る。

これを悪循環を断ち切るのはとても難しい。多くの人が無理だと最初から諦めている。
流れを変えるには逆に良い循環を回すための閾値を超えるインパクトがいるからだ。
でも大きなお金など使えない。知恵を使うしかないのだ。ドリームチームがいると思う。
一丸となって知恵を絞り切るチームだ。そこを生み出す力をもっと鍛えないといけないと思った。