突き抜ける。

文化の振興に携わって思うこと。それは多くの取り組みがビジブルにならないこと。
学芸員の研究でも、企画展の開催でも、体験イベントの企画でも何でも同じだ。
それぞれの担当者は、自分の担当するものを少しでも盛り上げようと努力する。
その結果、参加者も集まり、その満足度も高い。そんな状態がうまれている。

でも、少し引いてみると、何人に対して、どれくらいの変化をもたらしたのだろうか。
ぱっと光ってすぐに消える。その取り組みが生み出した影響は、観測されないことすらある。
天空に広がる無数の星のひとつ、しかも1等星ではなく、高性能の望遠鏡でしか見えない星だ。
そんな取り組みが、日本全国で無数に行われている。抜本的に変えないとあまりに勿体無い。

天空の星空で際立つ存在になるには明るさがいる。色でもいい。赤だと個性を放っている。
あとは流れてもいい。流星群など無数のものを一つとして表現しても良いと思う。
星座を模って、並びのパターンで見せるのもありだろう。天の川という無数の星の集まりもある。
さらにはそこに恋人同士のストーリーまでつけられる。際立ち方は色々あるはずだ。

天空というステージで際立つことが難しいという判断なら、別のステージで勝負してもよい。
大事なことは、とてもユニークであること。おっ、という驚きを感じてもらえるようにすることだ。
地平線まで広がる視界でも、タイムスリップした街並みでも、澄み切った空気でもいい。
それをバラバラに存在させるのではなく、星座のように、七夕のように、束ねて演出する。

ユニークネスの芯を見つけて、どんどんそこに同じエッセンスのものを重ねていく。
偽物を混ぜない。すべて本物を重ねていく。すると、唯一無二のものが出来上がっていくのだ。
一度できてもそこで止まらない。日々研鑽するなかで、進化した姿を次の来訪時に感じてもらう。
遠くからでも見える存在になる。ユニークネスを突き詰める。まずはそこの意識を持つ事から始めたい。