レース。

コロナ前、レースに出ていた時があった。昔からいつかはと考えていた。
自分の車を操る腕がどのくらいあるのかを確かめてみたかった。
頭ではどのくらい分かっていて、どのくらい身体がついてくるのか。
しっかりと習えばもっと車の運転が上手くなれるのではないだろうか。

そんな想いからだ。でも実際に走ってみると、ある意味打ちのめされた。
同じレースに出ている人たちのレベルが明らかに高かったのだ。太刀打ちできない。
自分のペースで一つ一つ自分の運転を確認しながら走ることなどできなかった。
あれよあれよという間に、後につかれ、道をどう譲るかばかり考えていた。

後ばかりをみて運転しているので、ライン取りなど上手くいくわけもない。
悪循環が始まり、ラップタイムがどんどん遅くなる。基本に立ち返らないと。
そう前を向いて、本来のラインに乗ろうとするが、後から突っつかれる。
なかなかの体験だ。一番大切なのは平常心なのだとつくづく思い知らされる。

何戦か経験すると、少しずつ感覚が掴めてきた。常につっつかれるわけではない。
早い車に抜かれてから、しばらく後から車が来ない時が続く。ここが試しどころだ。
基本に立ち返り、自分の運転と向き合う。どう走ればいいか、その通りできたかを考える。
最初は、束の間の自由な時間だった。でも手触りを持ち始めると、その時間が少しずつ伸びた。

イメージ通りの走りが少しでもできるようになると、余裕が生まれた。視野が広がった。
それとともに、ラップも早くなり、後から突かれる回数も減っていく。良い循環が回る。
そして楽しくなる。抜かれた車についていくことにも挑戦した。これもなかなか面白い。
お手本があると進化できるからだ。タイムという分かりやすいゴール。またやりたくなってきた。