文化振興が起点。

振興とは物事を盛んにすること、物事が盛んになること。○○振興と使うことが多い。
最近、取り組んでいる文化観光も、文化の振興から始まる。文化を盛んにすることが起点だ。
文化の振興を、観光の振興と地域の活性化につなげ、その経済効果を文化振興に再投資する。
この好循環をぐるぐる回すことが文化観光の目的だ。持続的な盛り上がりを生み出すのだ。

経済効果を再投資というと、どうしてもお金を稼ぐことが必要になる。無い袖は振れない。
その結果、観光客を何人呼ぶか、どのくらい長く滞在してもらうか、幾ら落として貰うかとなる。
インスタ映えなどのスポットを作ることに夢中になる。富裕層ツアーを造成することになる。
もちろん、それ自体は悪くないが、文化振興が起点となっているかというとそうでもない。

せっかく稼いだお金を文化振興に再投資することも、自然に起こりそうな気がしてこない。
いつの間にか、観光客にどのくらいお金を落としてもらえるかが目的にすり替わっているからだ。
やはり、文化振興の担い手が、文化の魅力を発信し、来訪者を魅了することが必要になる。
自分達が文化を振興する姿を見せることで、仲間を増やすことや応援者を募ることができるはずだ。

地域の文化を振興するなら、地域の文化力の結集がいる。集めてそれらに触れる機会を作る。
その地域の文化力とは何かをしっかりと言語化すれば、集めやすく、伝えやすくなる。
また、単なる展示ではなく、担い手との体験がいる。魅力を伝えるには、臨場感が必要だからだ。
サークル活動のイメージが近いかもしれない。部員との体験から始まり、次第にのめり込んでいく。

では、地域の文化力とはなんだろうか。その土地で大事にしてきたこと、育んできたものだ。
過去から大事にしてきたものを、現代や未来にどう繋げていくか。何を足していくかが重要だ。
いま生きている住民が文化力の源泉であり、そこに想いを馳せる遠方の人たちがそれを盛り立てる。
もう一度原点に戻って、文化力を基点とした持続的な文化観光について考えてみたいと思った。