「買い合う」のコツは⁈

ここのところ、ずっと気になっているのがお金を回す速度。年々遅くなっている。
数十年前までは、どの法定通貨でも発行額と同じくらいのお金が1年で流通していた。
つまり、年に1回転はしていたことになる。それが今や0.5回転を切っている通貨もある。
平均すると、既に持っているお金とその年に手元にきたお金の半分しか使っていない。

数十年前と比べて、何が変わったのだろうか。欲しいものがないということだろうか。
多くの人は、少しでも安いものを探して買い回り、貯蓄するお金はあまり残らない。
つまり、その月に得た収入の多くを、既に消費に向けていると思う。1回転していることになる。
ということは、多くの富を持つ人、企業のお金の回りが遅いということになる。

では、そうしたお金持ちの人や企業に「どんどん使え」と言えば、良いのだろうか。
確かに、企業なら稼いだお金を、従業員の給与を増やすために使うべきだという話もある。
これは賛成だ。でも、1割増やしたところで、回転数は数十年前にもどるのだろうか。
戻らない。やはり、そもそもの売り物が少ないことが一番の原因なのではないかと考えている。

そして、売り物が少ないのは、売り物づくりのハードルが上がっているからだと思う。
特に、生活必需品を高品質で安くが当たり前の日本では、多くの人が売り物づくりに手を出しにくい。
結果、企業の売り物づくりの一部の役割を担うに留まり、給料をもらうという構図だ。
これを打破するためには、売り物づくりを誰にでも参加できるものにしていく必要がある。

一番大事なのは、いま売り物でないものの中から、価値のあるものを見出していくことだ。
日々身の回りで起こることの中にも、「これは助かった」、「嬉しかった」ということはある。
そうした小さな事や誰でもできる事に改めて、価値を見出すことが大事だと思う。
そうすれば、売り物の総量を増大させ、身の回りの人同士で買い合うことが実現できると思う。