これまで色々なホテルに泊まってきた。国の数であれば30は優に超えると思う。
身体を休めるために泊まるのは基本だが、そこでユニークな体験ができると記憶に残る。
例えば夜景。東京なら色々な高層ホテルで体験できる。光の海が目に入ってくる。
次の朝、晴れて澄み渡っていると表情が変わる。富士山が見えると勇気が湧く。
山間のホテルだと、空気が違う。自然に囲まれているのを実感して身体が元気になる。
朝、目覚めた時の鳥の囀り、川のせせらぎ、優しい陽の光。なんとも身体に染み入る。
里山のホテルでは、おくどさんで炊けるご飯の音、野菜を切るまな板の音にふと気づいて起きる。
音だけでなく、炊かれているお米の匂い、お味噌汁の香りも、身体を少しずつ活性化してくれる。
海外のホテルでは、全く違う感覚がある。荘厳な雰囲気にぐっと気持ちが引き締まる。
伝統や格式の中で、自分の所作を省みながら、少し緊張している自分がいるのが分かる。
何気なく置いてある調度品の数々も、何かを語りかけてくるような気がしてならない。
街のことを聞きたくてホテルの方に話しかける。優しく教えてくれるギャップもなかなか良い。
完全に個人的な趣味だが、ホテルを選ぶ際、お風呂を重視している。バスタブは必須だ。
海外では、高級なホテルでもないところがあるが、長い時間くつろげるお風呂が欲しい。
できたら視線を遠く投げられる外の見えるお風呂が良い。考え事を何時間もしたいのだ。
香りも大事だ。日本であれば木の香り、海外であれば花の香りだろうか。包み込まれる。
最新のキラキラしたホテルはあまり好きではない。大事にしてきた何かがあるところがいい。
文化でも、温かみでも、自然でも、五感への刺激でもいい。積み重ねてきたものを再認識したい。
落ち着ける。安らげる。気持ちをリセットできる。生きる知恵を学べる。少し欲張りかもしれない。
これまでは、仕事中心のホテルライフだった。これからは豊かさを生むホテルライフを考えていく。