伝える。伝わる。

これまでも、人に何かを伝えるというシーンはたくさん経験してきた。
誰もがそうだと思う。でも、なかなか共通の認識や共感をえるのは難しい。
伝えたいことが曖昧だったり、伝え方がいまひとつだと、殆ど伝わらない。
相手に伝えたいことが「伝わる」ことが起きないのだ。対話でなく、会話で終わる。

伝わりやすいのは、情報だ。ニュースなどファクトを伝えるのは簡単だ。
相手が正確に覚えてくれるかどうかは、その情報への興味の度合いで決まる。
でも、そのファクトから読み解いた自らの解釈が相手に伝わるには、工夫がいる。
ファクトに対して、どんな考えを当てはめ、どんな結論を出したかをシンプルに伝える必要がある。

相手の中に似たような思考パターンがあれば、比較的伝わりやすい。あ、このパターンねと思う。
でも、相手にとってまったくの突飛な考えだと、口がポカンと開いた状態になる。
考えた道筋が見えないのだ。途端につまらなくなり、興味の持てないものになってしまう。
なにか身近なものになぞらえた上で、そこの発展型であることを示すのが良いと思う。

そうすると、相手の頭の中に、伝えたい中身の本質の部分が見え始める。対話の準備が整う。
それならこう思うよ。こんな返しがあったら成功だ。伝える側も、しっかりと状況が掴める。
ここで二の矢が放てるとなお良い。別の切り口からの伝えたい中身の表現を加える。
伝えたい相手の頭に、立体感が生まれ始める。相手の表現の幅を広げることができると思う。

「伝える」は、単なる言葉を渡すにすぎない。「伝わる」は相手からの伝える行為を引き出すものだ。
その伝える行為を受け取ると、伝わるがもう一つ生まれる。これが対話になるのだと思う。
これが何度も何度も続くと、いわゆる化学反応になる。一気に気持ちが昂っていく。
一方通行にならない。なんど思っても忘れがちだ。初心に帰って進んでいきたいと思う。