インダストリー4.0が日本に来た時、その重要なコンセプトの1つとして掲げられていた言葉だ。
サイバーは勿論、インターネットの存在する空間、最近のデジタルやバーチャルと似た意味合いだ。
フィジカルは、物理的な空間、つまりは現実世界だ。アナログやリアルと似た意味合いだ。
システムは、多くの物事や一連の働きを秩序立てた全体的なまとまり。体系といった意味だ。
では、それらを組み合わせたサイバーフィジカルシステム(CPS)とはどんな概念だろうか。
言葉の意味からは、サイバーとフィジカルが1つに連なり、秩序的なまとまりのあるものだろう。
似た言葉にデジタルツインという言葉もある。サイバー空間でリアル空間を再現する技術だ。
でも、2つを見比べると、何か全く違った意味合いにも感じてくる。システムと鏡だ。
デジタルツインの再現とは異なり、CPSはサイバーとフィジカルが相互に関係し合う。
つまりは、サイバーで考えたことをフィジカルにもっていき、フィジカルで実現してみる。
さらに、フィジカルで実践したことを、サイバーの中に反映するというサイクルにつながる。
要はサイバーとフィジカルの間を、其々で得た知見を相互に使いながらぐるぐる回す感じだ。
これまでフィジカルの現場だけでやってきた改善のサイクルを、サイバーの中で加速していく。
サイバーの中であれば、フィジカルの知見をしっかりと取り込んでおくことで色々試せるようになる。
サイバーなら色々なパターンを総当たりでやってみることすらできる。さほどコストも掛からない。
サイバーなら1人の担当者では見通せなかった範囲で改善を試せる。個々の改善のバランスも取れる。
全体の俯瞰力と現場のミクロな工夫を全部まとめて、すべての組み合わせで試せる強力な改善力だ。
もちろん、継続的な改善で得たフィジカルの知恵のすべてをサイバーに正確に載せるのは大変だ。
でも、ある程度の粒度やレベルならばできるようになってきた。人間の思考を加速する力は既にある。
なんか頭の中にある色々な妄想を試す道具ができたような気になる。人の進化のツールになりそうだ。