ウミガメに優しいプール

大海原を旅するウミガメ。どのくらい深く潜って泳ぎ、どうやって休んでいるのだろうか。
太平洋を回遊するというスケールもものすごく大きい。プールというイメージとはかけ離れている。
でも、怪我をしたカメの保護や生態の研究にはプールが必要だ。どんなプールがよいのだろうか。
間違いなく言えるのは、人間のプールのように一定の深さの長方形ではないということだ。

海底には起伏があり、人工的な形はない。色々な海の生き物と共生しているのが良いはずだ。
とはいえ、陸上にウミガメ用の住処をつくるとなると、あまり大掛かりなことはできない。
海の環境に近づけるべく、自然な曲線で構成された形がいい。深さも一定ではないのがいいだろう。
カメの特性を考えると、浅瀬や砂浜もあり、時には陸に上がれるようにしておくのも良いだろう。

水の温度も重要だと思う。海は当たり前だが、時間や場所によって水温が変化する。
光や色もカメに心地の良いものがあると思う。カメの目には海の青さはどう写っているのだろうか。
音も気になる。海の音を聴いたことはないが、海藻のすれ合う音や魚の泳ぐ音などがあるだろう。
こうした環境を再現するのは並大抵のことではないだろう。でも少しでも心地良くしてあげたい。

ここでぶち当たる壁は予算だ。カメに理想的なプールを作るには広大な場所と莫大なお金が掛かる。
もちろん、博物館にはそんな経済的な余裕はない。故に、限られた予算で創意工夫をすることになる。
仮に補助金などで初期投資のそれなりの部分が賄えたとしても、ランニングコストが大変だ。
とはいえ、プールの大きさなどは一度作ってしまったら変えることはできない。小は大を兼ねない。

でも、大きなプールを作り、最初は仕切って使い、お金ができた時に広く使ったらどうだろうか。
海水を温める燃料も、廃油を地域から集める仕組みを作れば、輪が広がれるにつれ広げられる。
みんなのプールになれば入館料も増える。使えるお金が増えるたびに、海底の起伏も足していけばいい。
あ。プールを使って、生き物との共生をみんなでやる機会が持てそうだ。ぜひ実現してみたくなった。