BGM。バックグラウンドミュージック。今ではあまり使わない言葉な気がする。
目立たず、でも確実にその空間を心地よいものにしてくれる音楽のことだ。
以前、音楽の違いで空間を区切り、気持ちを切り替える技を持ったベンチャーもいた。
人の心を整えたり、高揚させたり、音楽はとてつもなく、大きな力を持っていると思う。
音楽といえば、コロナ禍で歌う機会が大きく減った。歌える場所が無くなったからだ。
飛沫感染という性質上、大声を出すのがタブーだ。カラオケもスナックも様変わりだ。
以前は、生バンドの演奏という贅沢な場所が、私のリフレッシュの機会だった。
セッションさながらの時間は、この上なく贅沢な時間で、お店には本当に感謝している。
もっと練習をしてから来なきゃ。とよく感じていたが、演奏が歌を素晴らしいものにしてくれた。
主旋律しか歌えなくても、ハモリをうまく重ねてくれる。歌い易いキーに合わせてくれる。
まるで自分が上手く歌えているかのような錯覚を覚える。そのくらい気持ち良いものだ。
時間を忘れて楽しめる空間だ。感染状況で長く休まれていたが、徐々に再始動している。
お店の方々の演奏を見ていると、自分でもやってみたくなる。昔あった少しの経験がうずく。
でも、家で楽器を手にしても何もできない自分がいる。あまりの技量の差に呆然としてしまう。
結局、歌に戻る。マイスタジオは、車の中だ。ドライブの道すがら曲に合わせて口ずさむ。
歌詞を覚えている曲、好きな曲では、テンションが上がる。停まっていたら驚かれるレベルだ。
そうした曲を歌っていると気づくことがある。かなり自己流のメロディになっていることだ。
気持ちよく歌っているのと、背後で流れる「本物」は明らかに違う。お店のことが頭に浮かぶ。
もちろん、違っていることくらいわかっていたはずだ。おそらく、上手く合わせてくれていた。
優しい気持ちになる。ロジックより、感性。つねに大事なことを思い出させてくれる。