文化資源はどう生まれた?

コロナ禍の観光といえば、移動に気をつけ、3密を回避するのが重要だ。
ゴールデンルートに沢山の人が集中するといった観光は過去のものになってきた。
訪問したらその土地をより深く知りたいという願望も生まれた。文化観光が求められている。
とはいえ、その土地の文化ってなんですかという問いに的確に答えるのは意外と難しい。

祭りなどの有名なイベント、その土地ならではの特産品などの固有名詞は幾らでも出てくる。
それらは脈々と積み重ねてきた日々の営みのこれまでの成果物であり、とても多様だ。
平凡で質素な暮らしから、豊かな暮らし、煌びやかな娯楽まで、どんな変遷があったのか。
多様な成果物がどんな経緯で生まれたのか、その土地ならではの特徴となったものは何か。

少しの経済的な余裕が生まれると、暮らしに豊かさを加える。それが文化が生まれた瞬間だ。
食べ物にひと手間、着る物にひと手間。住処にひと手間。そんなことがはじまったのだと思う。
周りの人と競うように創意工夫をしながら、豊かさを生み出す。真似した上で、創意工夫だ。
だからその地域で、ある程度揃った取り組みが生まれる。染物文化や食文化がそれだ。

次は、自分の暮らしを彩るだけでなく、交易を通じて他の地域の人たちに買ってもらうことを始める。
交易の規模が拡大するに連れ、金銭的に豊かになっていく。娯楽に使う余裕も生まれてくる。
衣食住の文化を超えて、その土地に因んだ芝居や祭りなど新たな文化資源がうまれてくる。
加速度的に文化が育っていくようになる。住民は自らの文化を強く意識して、発信している状況だ。

初めは特に意識しない単なる日常だったのだと思う。少しずつ文化を活かした商売も始まった。
逆に、芝居や祭りといった文化資源を維持・強化していくために、商売に精を出した人もいるだろう。
ふと、新事業創出と文化資源の誕生は似ていて、文化資源から学べることが多いのではと感じた。
特にこれからの新事業は共感がものを言うからだ。これからしばらく文化資源と対峙しようと思う。