ハードウェアのスタートアップ

業を起こす。動機は自分の中から溢れ出てくる想いや夢だ。仲間の起業家の場合もそうだ。
夢の種類はもちろん多様だが、社会に新たなシーンや価値を生み出したいという共通点がある。
社会が抱えている問題に正面から取り組んだり、ニッチな領域で新たな価値の創出に取り組んだり。
自分の生み出した技術やアイディアや構想をいかに世の中に普及させていくかの挑戦だ。

やりたいことに夢中になると、ヒト・モノ・カネの消費は加速する。ついつい突き詰めたくなる。
特に、ものづくりや研究開発が必要な場合はそのスピードが速い。あっという間に時間も過ぎていく。
油断していると、手元の資金がなくなり、運転資金のための金策に忙殺される。研究開発が止まる。
起業したてでリソースがない中、可能な限り回り道せずに進みたいがなかなか計画通りにはいかない。

つくづく未来のシーンをどれだけ妄想できるかが大事だと思う。詳細に何度も何度も妄想する。
装置などのハードウェアであれば、そもそもの基本機能が良いこと、素性が良いことが何より大事だ。
でも、その装置がどんなシーンでどんな形で使う人に価値を生み出しているのかも描いておきたい。
装置の価格が高い場合、稼働率を上げたい。人気があり、待ちがでるくらいの状況を生み出したい。

1箇所で常に利用が見込めないなら装置の移動を考える。10箇所で1週間のイベントを順繰りに行う。
こうすれば10週間単位で稼働は維持できる。安価な物流に合わせて装置の大きさ・梱包を仕立てる。
2回目、3回目とリピートを狙うなら、ソフトウェアの変更で多様なシーンを準備することがマストだ。
あと、忘れがちなのがオペレーションだ。ここの出来栄えがユーザーの満足度を決めることも多い。

オペレーションには不具合が出そうな箇所はあちこちにある。そこにもすべて妄想力を働かせる。
でも、ここで一度立ち止まる。不具合の出そうな箇所自体を無くせないかを考えるのも重要だ。
てんこ盛りに何でもやるのではなく、確実にユーザーに届けられる必要十分な満足をデザインしたい。
勿論、どれだけ妄想をしてもその通りにはならない。最後は突破力と粘りを発揮できるかが勝負だ。