2つの合意形成

新たな商売を始める際、色々な壁に当たることがある。関係者に利害関係がついて回るからだ。
既にやっている商売や既にある暮らしへの影響が何かしら生まれ、これがかなり大変だ。
新たな取り組みをする側は、人の笑顔のためにやっているのに、なんでそれが分からないのかとなる。
周囲で影響を受ける人は、なんで平穏な状況をかき回すんだ、やめて欲しいという感覚になる。

当事者同士の話し合いができればなんとかなる。まずは何をしたいのかの全体像をまず伝えていく。
誰がお客さんでどう喜ぶのか。なぜその商売が必要なのかをしっかりと伝えていくだろう。
影響を受ける側は物事の全体像が掴めることになる。視野が広がって一定の理解ができる場合も多い。
その上でどんな影響が出るのかを話して、この部分は変えて欲しいなどと要望を出すことになる。

要は利害関係の調整だ。お互いに納得できるバランスの良い落とし所を見つけていく作業だ。
極端なケースでは、迷惑料的なものを支払い続けることで解決していくこともあると思う。
いずれにせよ、新たな商売をする側の中身と収益をうまく調整して、納めていくイメージだ。
影響を受ける人々の中での局所的な調整だ。社会全体では様々ところで起こっている合意形成だろう。

最近、もう1つの合意形成に挑戦することが多い。価値を重ねていく合意形成のアプローチだ。
新たに始める1つ1つの中身を調整するのではなく、同時に沢山のことの方向性を合わせていく。
個別の目的ではなく、「街の人の笑顔を生む」くらいの抽象度でみんなの目的を揃えるやり方だ。
既にやっている商売にも、その目的を照らして、新たに生む商売との相乗効果を狙っていく。

その際、共通の目的に貢献できるなら、それぞれのやり方の違いは尊重するという感覚を持ちたい。
互いの商売を尊重しながら、互いの商売をうまく活用しながら、全体のパイを大きくしていく。
ここには、街や社会への優しい気持ちが大事になる。みんなが気持ち良いことを目指すゆとりがいる。
パイは少ないと取り合いだ。だからみんなでパイを大きくする合意形成に挑戦したいと思っている。