呼吸とてあて

小さい頃は喘息に悩まされていたこともあり、色々な場面で呼吸法を意識してきた。
中学では呼吸が大事と、合唱部に入部してみた。肺活量を上げたかったからだ。
とても効果があったと思う。毎朝、発声練習から始まる。いわゆる腹式呼吸を使った発声方法だ。
腹の底から声を出す。長く強い声を出すには腹式呼吸はマストだった。楽しく学べた。

深い呼吸をすると色々気づくことがあった。肺の膨らみや横隔膜の動きを意識できるようになる。
手足の血管には、酸素が染み渡るような感覚を覚える。呼吸のリズムと共に熱も伝わるような気がしていた。
寒く凍えた日には、呼吸をすると手のひらが薄らと温まるような感じもした。
どれも真偽のほどを確かめたわけではないが、気持ちが落ち着き精神が心地よくなるのは間違いなかった。

昔から「おでこに手をあてる」という習慣がある。風邪などにかかった時に熱を見る時だ。
ただ、単に体温を感じるだけでなく、治癒力を上げる効果まであると感じる人も多いと思う。
気持ちを込めてリラックスをさせると共に、血の巡りをよくして、風邪への抵抗力を上げているのだろうか。
これも効果の程が検証されたかは別にしても、手を当てている側は深呼吸をしているような気がする。

おでこの部分には人間の脳の中でも一番進化した前頭葉がある。人間らしさを司る脳の部分だ。
人間はストレスや否定的な感情があると、後頭葉や側頭葉に血が集まるらしい。前頭葉は元気がなくなる。
どうやらここでもおでこに手を当てて、状況を打開する。前頭葉に血を集めてリラックスさせていく。
前頭葉を活性化できると、創造的なアイデアが湧いてきたり、困難の打開策を生めるようになるという。

呼吸と「てあて」の関係もよくわからない。ただ、小さい頃から腹式呼吸と「てあて」はセットだった。
指を切ったとき、呼吸で血が止まるような感覚があった。手で押さえて集中すると、効果が上がる気がした。
残念ながら、今はそこまでの感覚は薄れた。もしかしたら、自己治癒力が下がったからかもしれない。
でも、心の中ではまだ信じている。想いの強さが生みだす力。もっと増幅させてみたい。