木・金属などの円形の胴に心棒を通し、それを中心として手やひもで回転させて遊ぶ玩具。
独楽の定義だ。独楽を「こま」と呼ぶのも初めて知った。一人でも楽しいという意味だろうか。
小さい頃はもっぱらベーゴマという心棒のない金属の独楽だった。回すのにコツがいる。
正月の独楽も使ったことはあったが、回し方のせいか、すぐに止まってしまい夢中にはならなかった。
久しぶりに、ワクワクする独楽にであったのは、5年ほど前だった。とても小さな独楽だった。
初代全日本製造業コマ大戦の優勝独楽で、外見は美しく、一瞬で回したいという衝動に駆られた。
早速回してみると、異常な程の安定感だった。回し方が上手いと、3分は回り続ける超精密な独楽だ。
心棒は回しているうちに、次第に地面と垂直になって微動だにしなくなる。動いている様に見えない。
思わず惚れ込んで、会社のノベルティにしたいと頼み、台座付きの特別仕様の独楽を作ってもらった。
台座付きは製造元でも売っておらず、今でも他では手に入れることができない貴重なものだ。
実は、世の中に1つしかない自分の名前がレーザーマーキングで描かれた逸品も作ってもらった。
これはやばすぎる。今もパッケージを開けることもできずに、厳重にしまってある。宝物だ。
その後出会った独楽にも息を呑んだ。驚きはむしろこちらの方があった。3Dプリンター製の独楽だ。
金属が鎖帷子状に編まれ、布のように変形する六角形の中心に、心棒が生えている感じの独楽だ。
どう金属を積層していくとこの形状が得られるかは全くわからなかったが、一発での成形らしい。
ふにゃっとした金属布は回すと遠心力で持ち上がり、20秒ぐらい回って、ふにゃっとした布に戻る。
最近、半年遅れの誕生日プレゼントで頂いた独楽もある。これは白い樹脂での成形品だ。
この独楽にはデザイナーの感性が詰まっている。回すとびっくりマークが空間に浮かぶ仕掛けがある。
3つの独楽は似ても似つかない。技術も超精密加工、3Dプリンター、射出成形と全く違う。
でも発想、技術、デザインなど秀逸だ。新たな独楽との出会いの旅を改めて始めてみようと思う。