束の力

麻布台ヒルズがオープンした。相当な年月を掛けて実現された計画だという。
しばらくは毎日メディアが様々な切り口から報道するだろう。てんこ盛りの内容だ。
日本初といった呼び声の上がるもの、話題の会社の移転オープンなど見どこらだらけだ。
超一流ブランドもたくさん入居し、日本の旗艦店となるお店を開いた会社もある。

全部で幾つのテナントが入居しているのだろうか。数百にのぼると思う。
それぞれのお店は力のある有力テナントで、間違いなく単独でもやっていける店だ。
では、麻布台ヒルズに集まったのは何故だろうか。話題に乗りたかったのだろうか。
もちろんそうした側面もあったと思うが、他にも色々なメリットがあると思っている。

何よりも大きいのは麻布台ヒルズの圧倒的な集客力だと思う。とにかく人が沢山くるのだ。
麻布台ヒルズという空間が統一感のあるコンセプトで演出されている。それが魅力的なのだ。
コンセプトに合った店舗が集まり、広場など寛ぎの場もある。上質な滞在を実現している。
お目当ての店舗のない人も、その空間に滞在してみたいと次々にやってくるというわけだ。

こうなると、各店舗のマーケティングは楽になる。全体の枠組みの中で発信するだけでも効果が高い。
発信内容もお得という内容はいらない。むしろ高価格帯の品揃えを増やすのが良い。
賃料坪単価が高いので、当然といえば当然だが、坪あたりの売上を最大化しなければいけないのだ。
現場では、いかに高い商品を売るか、顧客単価を上げるか、顧客体験を高めるかに挑戦する。

その際、他の様々な店舗の取り組みが学びになる。色々な戦略を現場で見ることができるのだ。
日々学びを続けながら、自店舗の取り組みに活かすこともできる。出店者にとっても刺激的な環境だ。
マスも対象にしつつも、特別な滞在体験、購入体験を求める人に焦点を当てたビジネスをやる。
ファンを増やしリピート滞在・購入を確実に増やす。文化施設への適用の仕方を考えてみたいと思う。