賑わいを生むにはやはり密度が大事だと思う。それも何かテーマが欲しい。
テーマの中で、一番ポピュラーなのはアートだと思う。いわゆる芸術祭がそれだ。
日本各地にアートをテーマにしたトリエンナーレがあって3年ごとの楽しみになっている。
ストリートアートは一度置かれると芸術祭の期間中でなくてもみられる。
芸術祭の期間中は新たなアートが増えると共に、様々なイベントが催される。
密度が濃くなり、一気に来訪者が増える。3年ごとにやればリピータも増え、口コミも広がる。
リアル空間には、共通のサイネージがあり、アイコンとなり、目に入るだけで認知するようになる。
しっかりとしたデザインであれば、エリア一体に上質な統一感が生み出されるのだ。
密度はリアルの空間での話だけではない。情報発信、しかもデジタル空間上での密度も同様だ。
芸術祭という括り、名称があるだけで、そこに属しているアートやイベントの露出度が一気に上がる。
サイネージやロゴ、撮影OKのアートがあると、SNSでの自然増殖が起きる。好循環だ。
SNSで見ているだけでも楽しい気持ちになり、なんとか現地に行ってみたいという欲求が生まれる。
アート、イベントの密度は、多様性にもつながる。様々な嗜好の人を惹きつけることができる。
ある人はこのアートから、別の人はこのイベントから。そんな形で芸術祭との触れ合いが始まる。
著名のアーティストの作品も典型的なきっかけだ。でも著名な人をとにかく集めるではだめだ。
やはり一貫したテーマ、もしくは統一感のある空間があると、とても落ち着くような気がする。
なにも情報を持たずに統一感のある空間に没入する。そんな楽しみ方をするのもなかなかいい。
一通り感じた後に、アートツアーなどに参加して解説を聞くと、一気に感覚が拡張するのがわかる。
それが著名なアーティストの作品で、この空間に選ばれた背景も含めて知ることができる。
上質な空間の中で、食を楽しみ、休息をとり、1日を過ごす。密度が非日常を生み出すのだと思う。