賑わいづくり。

大きく分けて二つのやり方があると思う。ゲートウェイ型と分散型だ。
ゲートウェイ型は、ある施設がハブ拠点となって様々な見どころへと誘うものだ。
分散型は、各々の拠点がそれなりの魅力を放ち、幾つかの拠点で多様性を体感するものだ。
どちらの型においても、一定の密度が必要で、総体としてある大きさを超える魅力がいる。

密度に加えて大事なのことは、ユニークであること。借り物を持ってくるだけではダメだ。
もちろん、もの凄いお金を掛ければ、その場所に借り物で別世界を作り上げることもできる。
でもそれでは、その場所固有のものがほとんど生かされることない。少し寂しい。
やはり、その場所、土地に根付いたものを魅せたり、拓いたりすることが大事だと思う。

つまり、そこに住んでいる一人一人が主役となり、その日常を魅せていくことだ。
その土地の独自の風習、工芸品、美術品、そして食や自然の営みを、体感してもらう。
そこには人と人との触れ合いがあり、都心の雑踏にはない温かみもある。
そこの住人には当たり前だと思うものも、来訪者にとっては大きな魅力になり得る。

ただ、伝え方には工夫がいる。それぞれがバラバラに発信していては、届くものも届かない。
それぞれの取り組みを束ねるテーマが必要だ。その場所に来て五感で感じて欲しいことに設定する。
そして、それぞれの取り組みに少しだけ味付けをして、そのテーマが際立つように工夫する。
そうすれば、それぞれの取り組みが重なり合い、高め合い、大きな魅力へと変わっていく。

自然の中で味わう新鮮な食、日中の体験をゆっくりと思い起こす宿。それらを繋ぐ移動。
その場所に来てから帰るまでをしっかりとイメージすることが大事だ。時間を繋いでいく。
できたら、その場所に来る前に期待感を高めたり、その場所を日常に持ち帰る工夫もしたい。
文化とは精神性を高めてくれる素晴らしいもの。賑わいのタネはどこにでもあると感じている。