デザインの力。

文字や図を使って、チャートを作る。これまで何十年に渡って実践してきた。
考える道筋や話の構造をシンプルに見せる技など色々あると思う。
複数のチャートに渡って、紙芝居のようにストーリーを伝えることもできる。
ピラミッドプリンシパル。チャートの構成はそんな呼ばれ方もしている。

そうした基本的なプレゼンテーションのコツはもちろん効果的だが、それを超えるものがある。
デザインの力だ。チャートに書かれている図や文字の分量は極めて少ない。
つまりは余白だらけなのだ。チャートが美しく、そのチャートから妄想が膨らむ。
現実の世界に落とし込まれたシーンが頭に浮かぶ。価値がチャートから溢れ出るのだ。

少ない文字からは、その文字を選択した理由が伝わってくる。受け手の気持ちになっている。
内容を象徴するロゴは、記憶されやすく、親しみが湧く。ロゴのついたお土産まで欲しくなる。
例えば、工場とアートなど全く関連の無かったっものに、深いつながりを持たせる工夫が満載だ。
要はストーリーに仕立てるセンスが素晴らしい。要件ではなく、具体から入っている。

左脳の感覚は、満たすべき条件を網羅的に出すことに注力する。右脳は明らかに具体だ。
見ただけでわかるだろう。そんなインパクトがある。説明などほぼ必要がないのだ。
やはり、考えるのではなく感じろ、といった具合だろうか。まったく叶う気がしない。
でも、条件出しも役立つ。俯瞰力が高まり、冷静な目で全体の成立性を確かめることができる。

結果、論理構造の力とデザインの力の両方が必要なのだろう。それぞれの役割がある。
論理構造の力は、頭で腹落ちするために、そしてリスクを回避して実現するために。
デザインの力は、見た者を魅了して、実現へのモチベーションを高める。機運を生み出せる。
それぞれの能力を持つプロ同士でタッグを組んで進める。なかなか楽しいと思う。