競合か仲間か。

コンサルティングの中では、何十年も前から、競合との比較をやってきた。
類似の事業をやっている会社の中で、誰が一番事業を成功させているかを見てきた。
一番わかりやすい指標はシェアだ。市場の何%の売上や個数を取ることができているかだ。
そして、1位の会社は何が強みなのかを色々な枠組みを使って明らかにしてきた。

2位以下の企業は、1位の企業の強みをまねたり、その強みを打ち消す手法を考えた。
順位が逆転する事はそうそう起こらないが、熾烈な戦いが繰り広げられる。
その時、低価格という武器を使い始めると、市場自体が荒れ始める。消耗戦になる。
新たな付加価値を生み出す余地が狭まっていくのだ。市場が縮小し始める。

自社の収益も低下する。特にシェアが増やせたとしても、利益率は大きく低下する。
持続的な改善で利益率を戻そうとするがそう簡単ではない。規模と効率性が頼みだ。
市場が縮小されるだけではなく、世の中に生まれる付加価値も残念ながら大きく減少する。
資本主義の社会で当たり前に起きていることだが、ボタンが掛け違っている気がする。

これまでに、別の動きもあった。競合同士が手を結び、市場を操作する動きだ。
特に、価格を高止まりにする動きはいつの世にもあった。消費者が不利益を被る。
これはもちろん法律違反だ。残念ながら競合関係は犯罪の仲間になってしまう。
そんな中、正しい新たな仲間のあり方が生まれている。共同での新たな価値の創出だ。

競合同士が手を組んで、難易度の高い、大きな事業をすばやく立ち上げようというものだ。
バラバラにやっていては、いつになっても立ち上がらない市場を共同で立ち上げる。
役割分担や顧客接点での創意工夫で、それぞれの企業の独自性もしっかりと担保する。
今後は新たな仲間の姿を増やしつつ、社会を主語にした活動をもっと増やしていきたいと思う。