地域振興券と地域通貨

ウィキペディアを見ると、地域振興券は1999年4月に最初に作られたようだ。
15歳以下の子ども・満65歳以上の高齢者に1人2万円分ずつ、市町村から配布された。
全国で約3107万人が受け取り、国の支出合計は約7700億円で、99.6%が換金された。
地域内での用途に限定されることで、地域の盛り上がりを作ろうというものだ。

結果はどうだったか。追加の消費をした人ももちろんいたが、貯蓄を増やした人もいた。
つまり、振興券は使ったが、それによって浮いたお金を貯蓄したというのだ。
この使い方はとても残念だ。とはいえ、個人の自由なのでとやかく言うことではない。
一定の効果はあったと思うが、持続的な効果は得られないというのが実態だろう。

それから、振興券は基本的にはワンタイムユースだ。一度使うと券は回収されて終了だ。
一方、通貨は「法律の定めによって一国内に流通する貨幣」のことだ。流通するのだ。
つまり、誰かが使った通貨は、誰かの手に渡り、その誰かが使うと、次の人の手に渡る。
これが永遠に繰り返されるので通貨だ。売り買いの頻度が上がると、経済規模が大きくなる。

まだ地域振興券も色々なところで使われているが、最近ではこの地域通貨が注目されている。
地域通貨は、通貨と同じく、流通するので振興券にはない持続性が期待できるというわけだ。
売り買いの頻度が上がり、貨幣の流通速度が上がれば、経済規模はどんどん大きくなる。
ただし、貨幣を受け取った人が使いたくなる対象が必要だ。魅力のある対象作りが肝となる。

人気のカフェやレストランで地域通貨が使われると、店主に地域通貨が貯まっていく。
店主が、店の仕入れでその地域通貨を使うことができれば、素早く通貨は流通していく。
ぐるぐる回るには、一方通行ではなく、互いに買い合える沢山の売り物が大事と分かる。
地域の人がそれぞれの売り物を持ち、それらを買い合う文化にできたら地域通貨は力を発揮するはずだ。