経営力を引き出す

これまでグローバル企業との接点の中で、経営の難しさを感じてきた。
通常、本社のある国がモニタリングしたい経営指標を定めて管理を行う。
基本的な売上、利益から始まり、幾つかの重要なプロセスを示す指標を定める。
稼働率であったり、顧客数であったり、単価であったり。指標は次第に増えていく。

グループ企業の場合も同じだ。親会社が定めた経営指標を毎月報告する。
ただ、グループの業態が多様である場合には、管理が少し難しくなる。
業態が異なればプロセスも異なり、同一のプロセス指標が使えなくなるからだ。
そうなると、単純に財務諸表で見るか、業務に深く入り込んで個別に見ていくかの二択だ。

管理の手法にも2つのアプローチがある。1つ目は目標数字を決めて、その数字で引っ張るだ。
いわゆるノルマ的なもので、ボーナスなどと連動させる。現場の頑張りを期待した管理になる。
このアプローチは、数字への達成度が低くなると、泥沼な状況に陥ることが多い。
冷静にプロセスを俯瞰して、何をどう直すことが短期的に、中期的に効くのかを見れないからだ。

2つ目はそれぞれの会社の自律性の程度に応じて、管理手法を変えるアプローチだ。
まずは3段階くらいがいい。自らでストレッチな指標を決めて自らで管理するのがトップレベル。
中間は、一緒にプロセスの重要指標を3つくらい決めて、財務指標はその結果として管理していく。
一番手を掛けるのは、プロセス指標を細かく置いて、売上利益とのつながりを実感させる感じだ。

2つ目のアプローチを取るなら、それぞれに常に上の段階へと行きたくなる状況も演出する。
できたら、一番下の段階の会社をゼロにするとともに、トップレベルの上にもう一段作りたい。
その場合は、事業創造といった既存事業の枠からでた取り組みを加えれば良いと思う。
経営管理とは管理対象のやる気と創意工夫を促す事。自律性を生み出し、管理を不要にしていきたい。