何かしらの事物が時間的に変遷したありさま、あるいはそれに関する文書や記録のことを歴史という。
したがって、歴史では過去のことを取り扱うことが基本だと思う。事実の時間軸に沿った取り纏めだ。
つまり、歴史は「反復が不可能である一回限りかつ個性を持つもの」ということになる。
その土地土地の文化にも歴史があり、その歴史を学ぶことで、様々な貴重なきづきが得られる。
文化は、「複数名により構成される社会の中で共有される考え方や価値基準の体系のこと」である。
これが時間的に変遷してきたありさまを記録したものが文化の歴史だ。考え方や価値基準の変遷だ。
もちろん、その歴史の主役はその社会を構成している複数名ということになる。つまりは住民だ。
その土地に住んでいる住民がどんな日々を過ごし、考え方や価値基準を変化させてきたかが文化の歴史だ。
ある土地の文化の歴史を辿っていくと、おそらく、繁栄していた時とそうでない時があるはずだ。
商売が盛んになり、そこから得た富で、住民が暮らしを彩る様々な創意工夫をしていた時代。
そうでなく、災害や戦争で日々の暮らしが脅かされ、生きていくので精一杯だった時代。
どちらの時代にも、形は変われど、脈々と受け継がれてきた「その土地の大事な文化」があった。
そこには「これを大事にしたい」という住民の意思があり、苦しい時でも離さなかった歴史がある。
生きていくのに精一杯な時も、自らの時間を使って育み、生きるための拠り所としていたのだろう。
裕福な時代の時に残した様々な創意工夫の結果を、そうでない時代に巧く活用してきたのだろう。
この建物を残したい。この創意工夫を大事にしたい。これは文化を育むための知恵なのだと思う。
文化は、その時々にその土地の住人によって、地層のように順次、新たな創意工夫が足されていく。
足されるものが沢山あればあるほど、文化の歴史は厚みを増す。記録の量が多くなるからだ。
文化が栄えている時代は、住民が文化を楽しんでいた。後世に伝わる話題が沢山生まれたのだ。
100年後振り返って、自分の土地の文化が栄えているかは、今の自分達の行動に掛かっている。