デザイン経営。

色々なところで語られているデザイン経営。果たしてどんなものだろうか。考えてみる。
デザインは「美しさや使いやすさなどの狙いを実現するために創意工夫すること」とある。
経営は「事業目的達成に向け継続的・計画的に意思決定・実行し、事業を管理遂行すること」とある。
「規模を定め、くふうをこらして物事を行うこと」ともある。創意工夫は両方にある概念だ。

デザイン経営は「デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法」だ。
経営の中でも重要な要素であり、自社の存在意義・パーパスとも深い繋がりのあるブランドの構築。
同じ価値の効率化ではなく、新しい行動を創造して、新たな市場を切り開くイノベーション創出。
こうした事業上の重要な目的の実現に向けて、デザインは人の心を動かす創意工夫を担うのだろう。

経営の多くの手法は、感性や感情に働きかけるというより合理性や論理性に立脚するものが多かった。
ただし、ブランド論では確かに、合理性では説明しきれなかったものもたくさんあった気がする。
製品原価の積み上げでは到底売価が説明できなかった。売り方、売り場などの原価も入れてみた。
それでも客観的でかつ納得感のある解釈は難しい。顧客はブランドの作る世界観にお金を払っている。

論理性は、暗黙的なものも含めて、過去に起きた事象とその確率を活用していることが多い。
故に、当然のことながらイノベーションの創出には使いにくい。なので実証実験という概念がある。
起きる確率が分からない事象がどのくらいの確率で起きるかを見極めて論理の中に組み込んでいく。
でも、イノベーションの度合いが高いほど、確率の分からない事象ばかりとなり困難な状況を生む。

なんとなく分かってきた。デザインはやはり何かしらの技の組み合わせで人の心を動かす創意工夫だ。
嬉しい、愉快だ、落ち着くなど。こんな感情を沸かせることができる技をたくさん育んできたはずだ。
そうした技の組み合わせで目的の感情を沸かせ、世界観に浸り、体験を楽しむ状況を生み出していく。
未知で誰も体験がなく、それが起きる確率が分からないことの確率を高める。デザイン経営をしよう。