バイオエコノミー

土に還らない人工物を無くす。クリーンなエネルギーで満たす。農作物がよく育つ土壌を維持する。
人に必要な栄養素を人数分確保する。悪いところにピンポイントで効くワクチンや薬を作る。
これらを省エネ、省原材料、ハイスピードでやる。つまりは目的実現の効率性を段違いに高める。
動植物、菌といった生物の力を使うと、地球に優しい形で、これらをやり抜ける可能性が出てきた。

食べて美味しい。頑丈な家を建てたい。きれいに生活したい。CO2を出さないエネルギーが良い。
健やかに過ごしたい。美味しい野菜や果物を沢山食べたい。これらはみんなが持つ普通の感覚だ。
こうした身の回りの本質的な欲求を、生物の力を最大限引き出すことで、なるべく多く満たしていく。
これがバイオエコノミーの姿だ。応用範囲は無限と言って良い。欲求と生物の種類は沢山ある。

バイオエコノミーでは、生物自体の性質を変える場合と、生物の働きを高める場合がある。
前者では、よく育つトマト、栄養価の高いトマト。耐候性と加工性を両立した木造建築用の材木。
後者では、汚水を分解する微生物。アルコールをたくさん生み出す菌。コロナだけに効くワクチン。
土壌を整える微生物もある。種類によって異なる生物のもつ能力や働きを引き出して活用している。

生物の性質や働きを目的に最適な形に整える。以前であれば、到底無理なことだった。
でも、遺伝情報つまりゲノムの解析が進み、生物の性質や働きとの関係が急速に見えてきた。
さらには、目的の性質や働きを、生物が持つように遺伝情報を書き換える技術も出てきた。
しかも、生物が本来的に持っている修復という能力を活用した技術だ。安心感が増した。

バイオといえば、バイオハザードの映画や遺伝子組み換えの食品など、悪いイメージもある。
でも、みんなで豊かに暮らしていく、それを持続していくためには間違いなく必要な技術だ。
人の普遍的な欲求、人に本質的に必要なもの。これだけでもやりたいことは沢山ある。
まずはこれらに集中して、地球という船と付き合っていく。みんなで優しい心持ちを持とう。