大目標と足元の小目標

この数十年、プロジェクトと言われるものの規模やスコープが大きくなっている。
以前はプロジェクトのゴールは、それに携わる人、チームにとって身近なものだった。
もちろん、難易度が低いということではなく、以前は難しいことが分かっていたという意味だ。
なぜなら、自らが培ってきたこれまでの経験が、乗り越えるべき壁の高さを語ってくれたからだ。

プロジェクトの目標はロケット等のイメージできるものや、自分の専門の範疇に入るものだった。
ロケットならそれぞれの専門家が集まって、役割分担の下、マイルストーンに従って進めていく。
自分の専門の範疇に入るものは、既存製品の進化のプロジェクトのケースが多い。
いずれの場合も、ゴールや目標を明確に記述できているので、道に迷う心配はなかった。

最近のプロジェクトは少し違う。大目標はあるにはあるが、抽象度が高い場合が多い。
AIで社会をよくする。。。IoTで生産性を高める。。。サステイナブルな事業にする。。。
大目標に賛同しない人はいない。でも、メンバーが100人いたら捉え方が全員異なる。具体が違う。
それぞれの経験や専門に照らして、その範疇でできること、顧客が対価を払ってくれることを考える。

プロジェクトとしてのゴールの具体が曖昧なので、それぞれが別々の具体を追求し始める。
日本人は微差にもこだわるので、どんどん別々に作り込みが進んでいく。
もちろん、横展開できるものも考えていく。別々に作ったものそれぞれの展開先も描き始める。
でも、ふと俯瞰して全体を見ると、100の取り組みがそれぞれの主張を始める、重複も出てくる。

取り組み毎に用途が違うから、例えば画像認識AIでも、類似のものが沢山生まれてくる。
もちろん、それらを全部出来上がるまで放置することもない。途中で気づいたらすり合わせを始める。
正直、素晴らしい柔軟性を持った現場だと思う。でもスケールが更に大きくなったら、、、厳しい。
初めから大目標と小目標からなる構想を作り、100人に割り付ける。そんな構想家が加わると最強だ。