お金を頂くこと。

色々な仕事に携わっているとお金を頂くことの意味を考えさせられる。
例えば、長年続けてこられた町の食堂。旨いものを値段が30年同じまま提供している。
どれだけその町の人がその食堂に愛着や感謝をもっているだろうか。
続けられたという事実があるので大丈夫だったのだと思うが、かなり心配になる。

店主がひとりで切り盛りして、恐らくお客さんの笑顔こそが自分へのご褒美だと感じている。
値段を上げればいいのに。間違いなくそう思うが、そうしたくないのだと思う。
せめて、チップ制にできないだろうかとも感じる。余力のある人からでも取って欲しい。
まあ、結論は、店主がやりたいように、好きなようにやるのが一番、ということだと思う。

では少し大きくなり、組織で運営する事業だったらどうなるのだろうか。
なにより、その組織を食べさせていかなければならない。頂かなければならない金額が異なる。
10人いれば10人分の金額が必要だ。自分以外の9人にはそこで働きたいと思ってもらう必要がある。
仕事に対する金銭による対価と精神的な充足感を合わせてどのくらい提供できるかが大事だと思う。

もちろん、新たに事業を始めるなら、リスクは付きものだ。先行投資もいるだろう。
それを包容できる後ろ盾がいる。多くの場合は投資家だろう。親会社の場合もある。
ただ、包容力には上限がある。それだけでなく、投資はリターンを返すものだ。
なので、ここではしっかりとした値付けで顧客から対価を取らなければならないのだ。

その対価の総量が先行投資を超えると、ようやく累積赤字が解消され、リターンが生めるのだ。
結局のところ、BS/PLを意識しているかどうかが大事だ。無尽蔵にお金が出てくることはないのだ。
町の食堂は大丈夫だ。仕入れができなくなったらそこが終わりだ。肌身に染み付いてわかっている。
親会社の包容力。これはとても包容力がある。でも、事業立ち上げにはとても厄介かもしれない。